熱狂が去って、次のはじまりへ。

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板橋カップという第一フェーズが終了し、続いては第二フェーズへ。
「さて、やるか」って口にしたけど、なんか頭が重い。
疲れてないつもりだったけどな。たぶんまだ、体の奥に火が残ってたんだ。
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それでも、気持ちは前を向いていた。
大会は1日きりの映画。
常設セットは、1年間の物語。
ちゃんと“理由のある壁”を仕込んでいかなきゃいけない。
ここに登り続ける人がいる限り。
こっちの方が、よっぽど本番だ。
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今回のセットには、2つの軸を置いた。
バリエーションとグラデーション。
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「バリエーション」は、
保持、バランス、パワー、ダイナミック…
それぞれの課題でまったく違う能力が求められること。
得意も苦手も混ぜ込んで、一本一本に違う顔をもたせた。
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「グラデーション」は、
同じグレードでも“段階”があるようにすること。
たとえば「5級ができた」じゃなく、
「傾斜のあの課題ができた」って言ってもらえるように。
数字じゃなく、課題そのものに物語がある状態。
挑戦する意味と、登れた喜びを、1本ずつに込めたかった。

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静かすぎず、熱すぎず、ちょうどいい距離感で、
みんなの視点が課題に重なっていった。
特に印象的だったのは、
ゲストセッター・原田さん、大場さんの課題。
「そんな配置ある?」
「その保持、出すの?」
感覚の違いが新鮮で、ゾクッとした。
自分ひとりじゃ出てこない動きに、壁の幅がまた広がった気がした。

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そして今回は、セットオープン初日(セット最終日)にも、
たくさんの常連さんが手伝ってくれた。
ホールドの移動、掃除、テープ貼りなど…
本当に助かった。
こうやって、一緒に作ってくれる人がいるジムって、やっぱりいい。
開店時間はやや過ぎてしまったけど、無事に新セットをオープンすることができた。
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とはいえ、まだ終わってない。
追加セットやまぶしが残ってる。
もう少し、時間をかけて仕上げていく。
今この瞬間も“通過点”。
完成じゃなくて、更新され続けるものとして、
この壁はさらに、育っていく。

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最後に
この日記を読んで、
「これは登りに行かなきゃな」
「ちょっと打ち込んでみようかな」
そう思ってもらえたら嬉しい。
今回のセット、
俺の中での一言は「全部美味しい」。
一口で終わる課題じゃなく、
噛むたびに味が変わるような、
そんな壁になったと思ってる。