the FACTORY CLIMBING GYM

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田中日記26編 板橋カップ2025〜常設セット編〜

熱狂が去って、次のはじまりへ。

板橋カップという第一フェーズが終了し、続いては第二フェーズへ。

「さて、やるか」って口にしたけど、なんか頭が重い。

疲れてないつもりだったけどな。たぶんまだ、体の奥に火が残ってたんだ。

それでも、気持ちは前を向いていた。

大会は1日きりの映画。

常設セットは、1年間の物語。

ちゃんと“理由のある壁”を仕込んでいかなきゃいけない。

ここに登り続ける人がいる限り。

こっちの方が、よっぽど本番だ。

今回のセットには、2つの軸を置いた。

バリエーションとグラデーション。

「バリエーション」は、

保持、バランス、パワー、ダイナミック…

それぞれの課題でまったく違う能力が求められること。

得意も苦手も混ぜ込んで、一本一本に違う顔をもたせた。

「グラデーション」は、

同じグレードでも“段階”があるようにすること。

たとえば「5級ができた」じゃなく、

「傾斜のあの課題ができた」って言ってもらえるように。

数字じゃなく、課題そのものに物語がある状態。

挑戦する意味と、登れた喜びを、1本ずつに込めたかった。

静かすぎず、熱すぎず、ちょうどいい距離感で、

みんなの視点が課題に重なっていった。

特に印象的だったのは、

ゲストセッター・原田さん、大場さんの課題。

「そんな配置ある?」

「その保持、出すの?」

感覚の違いが新鮮で、ゾクッとした。

自分ひとりじゃ出てこない動きに、壁の幅がまた広がった気がした。

そして今回は、セットオープン初日(セット最終日)にも、

たくさんの常連さんが手伝ってくれた。

ホールドの移動、掃除、テープ貼りなど…

本当に助かった。

こうやって、一緒に作ってくれる人がいるジムって、やっぱりいい。

開店時間はやや過ぎてしまったけど、無事に新セットをオープンすることができた。

とはいえ、まだ終わってない。

追加セットやまぶしが残ってる。

もう少し、時間をかけて仕上げていく。

今この瞬間も“通過点”。

完成じゃなくて、更新され続けるものとして、

この壁はさらに、育っていく。

最後に

この日記を読んで、

「これは登りに行かなきゃな」

「ちょっと打ち込んでみようかな」

そう思ってもらえたら嬉しい。

今回のセット、

俺の中での一言は「全部美味しい」。

一口で終わる課題じゃなく、

噛むたびに味が変わるような、

そんな壁になったと思ってる。

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