こんにちは、りょうです。
今春は肘と指の怪我が続き、外岩には一度も行くことができませんでした。
正直、とても悲しい日々でした。
この秋になってようやく外岩に復帰することができました。
遅ればせながら、今年最初のRock Trip日記です。
今回は、常連の中でも屈指の強者たちと恵那へ向かった。
2日間を通して、決めきる力と仲間の存在の大きさを改めて思い知らされた。
片道340km。
東京から岐阜まではそれなりの旅路だ。集合は朝4時半。
まずは5人分の荷物を1台の車に押し込む作業から始まる。
サブマットの枚数を調整し、向きを変え、隙間を埋める。
もはやテトリスの世界だった。

体力も指皮も新鮮なうちに、まずは宿題へ。
大岩ごけエリアの「イルガ」(三段/V10)。
1年ぶりの対面だが、やはりこのルーフは惚れ惚れする。
過去の自分の動画を確認しながら、今の自分に合うようムーブを微調整。
バラしは高精度でまとまり、あとは繋げるだけ。
──のはずだった。
気温は7度ほどで問題なかったが、風が強かった。
思うように集中が乗らず、踏み出すべきタイミングで心が前に出なかった。
三段の同じムーブを何十回も繰り返せば、当然体の同じ部位が削られる。
風が落ち着いた頃には、指皮もスタミナも残っていなかった。
いや、もしかしたらまだ行けたのかもしれない。
ただ、この時は心が負けた。

仲間は近くの岩で「ナナメジ」(初段/V7)をセッション中。
僕も混ざってみたが、想像以上に悪かった。
120度ほどの傾斜をアンダーで耐えながら上がっていくフィジカル一本勝負。
核心は距離を出すムーブ。しかも僕の場合、足位置が深く絶望感すらあった。
それでも仲間の挑戦する姿を見ているうちに、
「諦めるには早い気がする」と思い直した。
試行錯誤の末、持ち方を変え、レイバック気味にスメアを張って飛び出す方法を発見した。
しかしすでに辺りは真っ暗。宿の夕食時間も迫っており、残り時間は十数分。
腹を決めてのラストトライ。
アンダーパートを丁寧につなぎ、核心へ。
渾身の一手はドガバ。必死に押さえ込んだ。
初めて触るマントルを慎重に処理し、完登。
仲間の声援とアテンドが背中を押してくれた。
グータッチの瞬間、思わず笑ってしまった。

宿は「よしだや」さん。僕は初だったが、とても居心地が良かった。
ご飯はおかわり自由、免疫力が上がると噂の温泉あり。
疲労がきれいに抜けていく感じがした。
部屋に戻ってからは、クライミングの話と全く関係ない話を行ったり来たり。
飲み明かしたい気持ちはあったが、ビールとウイスキーを一杯ずつで締めた。

畳の匂いで目を覚まし、温泉、朝食、散歩という贅沢な朝を迎えた。
宿のすぐ外にはダム、陸橋、そして紅葉。
想像以上に居心地が良く、つい長居してしまった。

この日は猪まちエリアへ。
恵那は取り付きやすい看板課題が多い印象だが、ここは別物。
30分ほど斜面を下り続けるハードなアプローチだった。
最初に触れたのは「にゃんちゅう」(初段/V6)。
SDスタートから外形寄りのフラットカチを経て、横ガバへ距離を出すジムナスティックな課題。
仲間から「フラッシュ狙えるよ」と言われ、気持ちが切り替わる。
高さのない岩で仲間の動きを見られたこともあり、思い切りよくムーブを出せた。
核心をそのまま突破し、フラッシュ成功。

続いて「ジオランダー」(二/三段/V10)。
巨大な一枚岩に、ガバアンダーとマイクロカチが配列された“岩の課題”という雰囲気の一本だ。
核心は中盤の極悪カチからのランジ。
岩の状態は最高。挑まずにはいられなかった。
しかし核心で動き出せずフォール。
数トライ粘ったが、届きそうで届かない数センチが埋まらない。
前日の疲労もあり、この課題は敗退。
だが、この一本は間違いなく生涯のリベンジ課題になった。

夕方前にエンカイ岩へ移動。
スタートから「エンカイ」(1級/V5,6)と「カイエン」(二/三段/V10)に分岐する課題だ。
まず1級を触ってみたが、まさかの全く進まない。
2日間ハードに登り続けた指皮は限界に近く、初手の刺さるカチに耐えられなかった。
仲間たちは「痛ぇ〜」と言いながらも解決して核心へ向かう。
僕は指皮の悲鳴で苦戦。
そして気付けば辺りは真っ暗。
投光器とヘッデンを出し、完全にナイトセッションに突入。
朝に「今日は明るいうちに帰ろう」と話していたのが嘘のようだ。
撤収まで残り30分というところで、ひらめきが訪れた。
初手のカチを使わず、2手目のフレークに直接入るムーブ。
足位置がタイトだったが、絶妙なポジションを見つけられた。
その勢いのまま通しトライ。
最後のマントル返しまで気を抜けない課題だったが、
最大集中で押し切り、完登。

駐車場へ戻った頃には20時。
諏訪SAで夕食を取り、板橋に着いたのは深夜2時半。
普段寝ないキャラの人ですら睡魔に負けるほどのハード遠征だった。

遠征を終えて。目当ての課題が登れなかった悔しさは確かに残った。
だが、今回の恵那で強く感じたのは、ひとりでは届かなかった一手があるということだ。
最高のコンディションの岩に触れ、これから追いかけたい大きな目標も見つかった。
それ以上に、仲間の存在が僕の背中を押し、踏み出す勇気をくれた場面がいくつもあった。
2日間とも終盤に結果を出せたのは、偶然ではない。
これまでは午前中の流れが一日を左右することが多かったが、
今回は仲間の挑戦や声援に刺激をもらい、心を切らさず踏みとどまり、
最後まで前に出ることができた。
あの場に仲間がいてくれたからこそ掴めた結果が、確かにあった。
今回の遠征を共にした
北村さん、一由さん、淡路さん、野崎さん。
4人のおかげで、愉快で、真剣で、そして自分を一歩前へ押し出してくれるような濃密な2日間になった。
本当にありがとう。

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